雪子さんの結界の家
撮影のロケ地さがしで出会った雪子さんのいえ。
NHKの美の壺のロケ地探しでおとずれた古民家。
玄関までの細長いアプローチに見えない結界がはられていて、向こうには、とくべつな時間がながれているようだった。
そこに住む静かでうつくしい雪子さんに会った。
その衝撃がいまの生活につながっているのだと思う。
理想のくらし。金継という「再生」の仕事が、かのじょの生き方にぴったりだった。
今まで大切だと思ってたものが、色あせて見えるほど理想のくらしだった。
庭にはたくさんの実がなり、いつも気持ち良い風がすりぬけ、
何もないと彼女はいうが、なにもかもがあるようにおもう。
だれに媚びることなく、ほんとうに好きな人たちと、好きな生き方をしようとその時つよく思った。
人生はみじかい、ならば世の中にふりまわされず自分の価値観をたいせつにしよう。
ねたみや、うらみや、イライラなど、ネガティブな感情はだれの心にもあるだろうが、
それに支配されて自分の人生の時間をむだにすることが一番かなしい。
黒田雪子さんは米ライフスタイル雑誌「Kinfolk」に美しいくらしをする日本人として紹介されていて、
「食べものが人の栄養になるように、くらしも栄養になるのです」と答えている。
くらしから元気やエネルギーをもらえるように、これからは意識して生きようって思った。
それからほどなくして、私は千葉の工房へ・・。
最初は不可能とおもえたことも、いまは人生のなかの中心として時間がまわっている。
理想のじぶんは面白おかしい毎日をくりかえしていても手に入らない。
安易なみちでなく、あえてくるしいことを選択することも大切で、今なら、今の私ならまだ間に合う。
それに気が付かせてくれた宝物のような出会いだった。
彼女は結界のいえに住むうつくしいひとです。
そして大切な友人です。