今が一番いい理由
2017年1月12日 11:48
絹
私は若さが欲しいと思っていません。
しわがあって、多少くたびれた顔ですが、きものとの調和は年を重ねるごとに良くなってきました。
長年連れ添った夫婦が似てくるように、ペットが飼い主に似てくるように、きものは私で私がきものになっているような一体感を感じます。そしてそのことに日々幸せを感じています。
随分ながいこと着てきましたが、最近はきものより私の方が多少偉くなったようです(笑)
夫より妻の方が強くなったのでしょうか。
男性の織り手の紬など、気難しくて主張が強く若いころは着こなすのが難しかったのですが、いまではしっくりくるようになりました。
皆さんもう亡くなってしまっていますが、時を経て織り手と会話できるのも、手織りならではの良さです。
苦手だった締めにくい帯も、いつしか私に寄り添うようになり、一回でお太鼓が決まります。
まあ飽きもせずに長いこときものを着ているご褒美では?と思っています。
歳を重ねると、顔の美しさはやはり内面に比例してきます。
美しさの基準が、肌の張りや造作などでないことをようやくわかってきて、自分次第で美しくも醜くもなることに、身を正す毎日です。
シミが増えても、しわだらけになっても、剣のある顔だけにはならぬよう気を付けています。
SNSによって、誰もが誰かよりも特別にならなければと焦る世の中になりましたが、
この世の中焦ってもがいて必死に掴んだものでも、いつなくなるかわかりません。
周りに翻弄され、自我を満たすために一喜一憂するのでなく、ささやかな満足感で日々繰り返す毎日こそ、
じつは大きな喜びであると思いたいです。
美しさは小さな喜びの集大成で作られていくのだと・・・。