キモノのこと

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官休庵と龍村平蔵・南部畳表の7段

2018年3月25日 16:30  

いよいよ道名を頂く日が近づいてまいりました。


道名はお家元のお宅に伺い頂くもので、武者小路千家では、準教授・教授と頂いてそれからお名前となりますので大変な事でございます。

私のようなものが頂くにはまだまだなのですが、今回有吉先生からお家元にお取次ぎ頂きましてお許しを得て授与式に出席することとなりました。


茶会や茶事などに出席することは多くありますが、今回はそのような事とは違い、京都官休庵に伺いお家元よりお名前を頂戴いたしますので、私としても一生に一度の事でございます。


茶会の道具は、たとえ高価なものであっても自分になにかしらの関係性があるもの、ゆかりがあるものでなければ意味がないと日頃有吉先生に言われております。


それをふまえてのコーディネートを悩みに悩んだ数ヶ月でございました。



着物はNHKの「美の壺」のお茶の撮影で着用しました千總訪問着「四季の花」


叔母のお下がりで古い物でしたので、日本橋高島屋さんに色補修や柄の修正などをお願い致しました。

職人さんに随分と手をかけて頂き大変美しくよみがえって帰って来たものです。

今の千總とは少し違う趣で、刺繍も柄も大変気に入っております。


「掌の菓子器ボンボ二エール」は再放送が何度もかかるほどの好評の回だったそうで、お家元も見て下さっているとのこと。

私にとって特別な思い出のある訪問着ですので、これが一番ふさわしいと思いました。



帯は龍村平蔵作の「国宝華篭文」袋帯。


この帯もかなり古いものですが、現在高島屋の龍村錦帯ではお色違いで新しく織られております。


今回は午前中に大徳寺で利休忌に出席しまして、午後官休庵に伺うというスケージュールになっております。

利休忌に出席となれば色無地が良いと思うのですが、午後は祝いの席になります。

有吉先生や水屋の先生から午後を中心に考えたお着物で良いと伺いましたので、せめて帯だけでもと思いこちらにさせて頂きました。


鎌倉時代の金工芸に範をもとめた帯で法会の時に散華する華を入れる篭の文様となっております。


官休庵に伺うときは龍村平蔵でという思いを長く持ち続けてきましたが、今回ようやく遂げることが出来ます。

きものおたすけくらぶさんでメンテナンスをお願いしていて、とても綺麗に仕上げてくださいました。

帯は手を使うものですので、定期的にメンテナンスをすると良いと思います。



茶室に四つ足のものを持ち込んではいけないという叔母の話をいつも聞いていましたので、草履は南部畳表7段。

この畳表は当初ざざんざ織の鼻緒がすげてありましたが、茶会用に辻屋本店さんにてこちらの白い組紐タイプに変えて頂きました。


今はもう7段を作れる職人さんがいないそうですので、大事に履いてくださいとのこと。


畳表は随分昔にチャレンジ致しましたが、足袋が滑ってしまって全く歩くことが出来ず、結局足首を痛めてしまいましてそれ以来断念しておりました。

足袋の底を少し濡らして履くと良いと伺いましたが、何をやっても脱げてしまうのです。


今回足にぴったりと合う畳表に出会い、全く滑らない状態に鼻緒をすげて頂きまして、職人さんには大変感謝いたしております。


茶会に畳表7段を履いて行くという憧れは、祖母の姿です。

玄関にずらっと並んだ畳表の草履を見て、いつか私もと思って参りました。

履きこんだ畳表は自分の足型に変化していき、極上の履き心地になると聞いています。

育てていくのが好きな私はこの畳表もじっくりと自分の草履にしていきたいと思っております。



利休バッグはいくつかありますが、正式な茶席バッグは持っていませんでした。

大寄せの茶会、初釜、食事会、パーティーなど普段使っております利休バッグは、持ち手が皮になっていたり、華やかな柄や、金糸銀糸などの刺繍がついているもの、一枚の布で作られていないもの、底に鋲が打ってあるものなどおしゃれ用ばかりでしたので、今回新しく茶席用を探すのに大変苦労致しました。

龍村美術織物さん、銀座のくのやさん、大和屋さんにもありましたが、今回は四谷三栄さんのものにいたしました。

このようにシンプルなフォルムは、縫いの職人の腕がはっきりと出る物です。

少し小ぶりで、もった時のバランスが良く、コーディネートを邪魔しない控えめな存在感に大変満足いたしました。



出し袱紗は「志村ふくみ」

懐紙入れは「土田友湖」

最後の帯締めはまだ迷っております。

渡敬の内記組が道明か・・・。


この数ヶ月、やはり職人さんが残ってくださらないと、私達の着物生活は大変困るのだとあらためて考えさせられました。

着物の色さしや、柄足し、帯のメンテナンス、草履の鼻緒や微調整、茶席バッグや懐紙ばさみ、出し袱紗。すべて人の手によって丁寧に作られたものです。

着物やお茶を取り巻く環境は何と贅沢で素晴らしいのでしょう。


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