森田秀子作品
森田秀子先生は二宮で「風合い工房」を主宰されています。私もそちらに所属しております。
現在の先生は、様々な種類の糸を組み合わせて絶妙なニュアンスを出すショールを中心に織られています。
若いときは着尺や帯をたくさん織られたようですが、今は日々の生活に寄り添い、すぐに使える作品をとおっしゃっています。
この着物は絹のように柔らかく光沢があるのですが、実は木綿です。
本来木綿の着物は単衣で仕立てますが、このようにかなり細い糸で織られたものは袷で仕立てられます。
今まで絹を超える綿薩摩という木綿着物を愛用しておりましたが、やはり袷で仕立てますと、全体的にもたついた印象がございました。
森田先生のこの着物は、本当に軽く、木綿であることを忘れてしまいそうです。
そしてこの藍の色は今はもう出せないのではないでしょうか。
藍の色は、時間がたつと変化いたします。
最初の染がしっかりしておりますと時間とともに深く鮮やかになりますが、そうでない場合はくすんでぼやけてしまいます。
いかに藍染めがしっかりしていたかが分かる作品です。
帯も先生の作品になります。
軽くて締めやすい帯は、着物を選びません。
糸の配色も素晴らしく、手織りの帯の優しさや強さが凝縮されていて、何度締めても飽きることのない作品です。
良いものとは、最初の出会いに驚きをもたらす派手さではなく、見れば見るほどじんわりと美しさが滲み出て、決して飽きることなく、やがて自分らしく変化していくものと思っております。
次から次へと新しい着物を着る時期もございましたが、今の私の生活が身の回りの物と一つ一つ丁寧に向き合うというスタイルですので、畳2畳分の収納以上増えないようにしております。
仕立てる予定でした単衣、夏物、帯。染めなければならない白生地など。
今年は反物のままで見送りとなります。
来年か再来年か、そのうち仕立てたいと思う日が来たら・・・とのんびり構えております。
お茶ではありませんでしたのでほんのりと薄いグレーの足袋をはいてみました。
渋谷のザ・ヤードさんで時々白に近い、薄い色のついた足袋を買うことがございます。
普段着の着物に真っ白い足袋が浮くことがあり、そのような時は、薄いベージュかグレーの足袋を履くことがあります。
山葡萄のかごに畳表の草履。
小津安二郎、白洲正子、幸田文が好きな私らしい姿の一日でした。
GWも最終日です・・・。
皆さんはどのように過ごされたのでしょうか。