冬の終わりの椿染め
昨年は横須賀まで採りに行った椿も、今年は友人がわざわざ届けてくれました。
椿は下に落ちて、もう鑑賞としての役目を終わらせたものを使います。
色が変わってしまっていても本当に大丈夫なの~?と心配そうに拾ってきてくれました(笑)
だいじょうぶなんです・・・・。
雄しべを取り除き、花弁だけをよりわけて染めます。
朝から準備して夜には綺麗な色が出ます。
最後は違う色になってしまうのですが、途中のピンクが大好きです。
いつまでもこの色を見ていたいな~と毎年思います。
花としての命は終わっても、まだこんなきれいな色を出せるなんて素晴らしい。
見た目には枯れていても、色はまだ残っているのです。
今回は糸染めはせず、シルクのおやすみソックスを、施設にいる母と叔母用に。
椿を持ってきてくれた友人に帯揚げを染めました。
ピンクはこの途中のほんの一時だけの色です。
媒染でいっきに神秘な紫に変わります。
この一瞬も大好きです。
少女のようなピンクが静かな大人へと変化します。
まるで椿の一生を色で見ているかのようです。
そして薄紫のおちついた大人色に仕上がりました。
これで完成です。
色の旅はいかがでしたか?
不思議な色の世界を一気に駆け巡る旅は自分の気持ちと向き合える時間でもあります。
私がどうあるべきかをいつも考えさせてくれる大切な時間です。
これで終わりとは言っても、日にあたるとまた微妙に色が変化していきます。
身近な植物や花から色を出すこと、時間によって、染める糸によって、媒染によって想像もできない色に変わっていくことが草木染の一番の楽しみです。
毎年同じ色が出せるわけではありませんが、だからこそいつも新鮮に向き合えるのです。
花の命が終わっても、色は残ります。
女性として華やかな時期を過ぎてしまっても、外見が少しづつ枯れていってしまっても、
色だけは失わないで、いつまでも艶のある女でいなくては・・・と
毎年椿に教えられています。