草木染めクラス開講「草木と祈り」
「草木〜色禅の始まり」の撮影で使用した茜染の根と明礬。
コーディネートはその時々の草木の状態に合わせています。
草木は口に入れられるもの、媒染剤は自然のものだけにこだわり、古式自然染としております。
4月12日より、草木染めクラスが「日本橋三越カルチャー」にて開講いたします。
すでに続々とお申し込みいただいていると担当者から連絡があり、嬉しい限りでございます。
さて、コロナウイルスの問題がどの程度長引くのかは見当もつきませんが、もし今回うまく乗り越えることができたといたしましても、またいつ同じような新型の細菌が私たちを脅かすか、安心できる日々など約束されなくなってきております。
弱くなってきた日本の経済のために中国の消費に頼ってしまったことで倒産する会社もこれから多く出てくるのだと思います。
様々な方面からダメージを受けるであろうこれからの日本を生き抜くために、私たちはどこに向かっていけば良いのか、もう一度組み立て直す時期にきております。
禅語「青山白雲 (せいざんはくうん)」
青々としてどっしりと動かない山と、その周りをぐるぐると姿を変えて去来する雲。
動くものに囚われるな、動かないものをしっかりとみよ。
真実は何か、本当に正しいことは何か。
様々な情報や不安、他者との比較、己だけを満たす欲望、そういうことに惑わされ、自分の持っている本質が見えなくなる。
正しいことが見えなくなる。
本当の姿はどっしりと動かずそこにあるのです。
私が染色を続けることの意味はここにございます。
草木染は色というツールを使って私たちに本来の姿に戻ることを諭しております。
毎回同じ色に染まることもなく、その時の、地質や天候により草が出せる色が違ってくるのでございます。
私たちも毎回同じ考え、同じ体調では生きれません、仕事も環境も日々変わっていくのです。
しかし、その時その時のベストの色で生きる。
それが草木染めの答えです。
日本には座禅という素晴らしい修行がございます。
弓道は立禅といわれ、克つべき的は己のうちにあり、その勝負に他人が介入することはございません。自分自身との戦いになります。
染色も禅と通じるところがあり、草木のあり方を見て、植物の声を聞けるようになり、己が静かで動かない存在になって初めてうまく色が出せるようになります。
なので私は染色も「色禅」と考えております。
嗅覚を研ぎ澄まし香りを確認することで、強さ弱さを知ることになります。
味覚を研ぎ澄まし、薬効を口にすることで舌から脳に伝達されます。
自然と私たちの体が一体となれるのが草木染めです。
毎回祈る気持ちで向き合っております。
私たちは、この世の中に、人間として存在していますが、動物より上であるとか植物より上であるとか、誰が決めたのでしょうか。
植物がなければ美しい空気を吸うことも、美味しい水を飲むこともできない、そんな危うい存在です。
そしてたった一つの細菌で世界中が混乱しております。
もしかしたら、環境破壊さえここまで進んでいなければ、自然が守ってくれたかもしれません。
自業自得なのです。人間は。もちろん私も。
草木染めを学ぶことで、みなさんがこれからの生き方に何かしらのヒントを掴んでいただけたら。
今回の講座の意味がそこにあるのだと思っております。
ようやく、本来の私の講座を開講できること、心より嬉しく思います。
4月はまだまだ世の中がどうなっているかわかりませんが、強い気持ちを持って、動かない本当の真実を見て進みましょう。
染めます素材は絹で、ストールか帯揚げのどちらかを毎回選んで染めていただきます。
日本橋三越にてお待ちいたしております。