キモノのこと

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2017年5月27日 09:01  

今朝読んだ「お帳場通信」の林屋晴三先生のお話の中で、とても納得する一文がありました。

先生は4月1日に永眠されています。


お茶の先生方にとって、発展するということがプラスかマイナスか。

先生方にとっての発展は、弟子が増えることかもしれませんが、増えることが深まることにはつながらない。

先生はもっと心の自由を得て、お茶を深めて頂きたい。

このようなお話でした。


私はお茶の先生ではありませんが、日本の伝統的なことを教える先生という意味では似ています。


そして今までの私は確かに「自由」がない状況でありました。

生徒たちの為に飲み込んできた言葉や、クライアント先の疑問に対し、自分を押し殺す場面も多かったように思います。


安易に弟子を受け入れることを少し休みたい。

今の弟子の数が目が行き届く限界であると思っています。


そして本当に伝統色を学びたい、きものを学びたいという人だけにお教えしていきたいので、

今後もしまた弟子を取ることがあったとしたら、きちんと話し合いのもとに受け入れて行こうと思います。


ゆえに個人診断も少しの間お休みをいただきたいと思っています。


先日素晴らしい染織作家さんと交流がありました。

もう50歳を過ぎたのだから人に恥じないようないい仕事だけをしていきたい。そう話してくださいました。

私も同じです。


いままでなんでもお引き受けしてきましたが、これからは自分で納得のいく仕事のみをお引き受けしていく所存です。


美しいものを作る友人たちと交流していきながら、私自身もさらに知識を深めていきたいと思っています。


着物は色が大事です。


まずどんな色を出すか、染職人の目が命です。


織も横糸の入れ方で染とは違った奥行きのある色の表現ができます。


染も織も、ちょっとしたゆらぎのようなもの、機械では出せない不完全な部分がほんの少しでも見えるところに美しさがあります。


私は工藝としての着物の良さにこだわっていきたいと思うのです。




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