くらしのこと

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2020年を迎えて

2020年1月2日 17:37  お茶のこと


2020年を迎えました。

喪中のため、新年のご挨拶はできませんことをお許しくださいませ。

今年も皆様と共に充実した一年を過ごせますよう心より願っております。



昨年京都にて聚光院の小野澤虎洞ご住職に、出家についてお伺い致しました。

(講師達にはいつものことかと呆れられておりますが、ここ数年出家について常に考えて参りました)


「朝早く起きてお経をあげるだけで立派な修行となる。それだけで良い」


それ以来、毎朝薄暗い茶室にて香を焚きお経をあげて座禅を組んでおります。

出家への渇望は一切なくなり、日々生きる事が修行であると考えられるようになりました。



昨年立て続けに見送りました友人、義母、義父のこと、実の両親や養父などの顔が次々と浮かびます。


私の出家への思いは、もしかしたら終わりの見えない介護からの逃げ、現実逃避だったのでしょうか。

地獄と思えた介護の日々は終わってみれば(まだ完全には終わっておりませんが)何の意味も持たないことでございました。地獄も極楽もこの世にはありません。


親子の愛情や、生きる苦しみも死への恐れも、全て無であると今は考えております。



今年の我が家は喪中ということもあり、おせちは最低限のシンプルなものに。

とてもお写真を載せるような豪華さはなく、逆に皆様のお写真で楽しませていただいております。

お酒も頂きもので済ませました。

非常に簡素なものでありましたが、年齢と共にあまり量も食べれなくなっておりますのでこれからもこの方が良いのではと思っております。


夫の健康を考えると、塩分も糖分も控えねばなりませんので。


毎年お茶の友人から頼まれて数人の方に練香(黒方)を納めさせていただいております。


老舗のお香には及ばないと思っておりますが、贅沢な原料を使用しておりますので、香原料の持つ本来の力に助けられております。

香原料は高野山より取り寄せております。

何よりも私の調合したお香を茶席で使っていただける事が大変嬉しゅうございます。


先日、日本橋三越にてお香のクラスを持っておりました時の生徒さんから、今でもずっとお香とともに暮らしがある事、そしてそれが精神的な支えになっているとのお手紙を頂きました。


私のようなものがお教えした事が、その方の日々の糧になっているということは大変嬉しいことでございます。



新年は梅と桜で静かに祝いました。

蝋梅の甘い香りに啓翁桜。

春が来たと勘違させお正月用に人工的に早く咲かせる桜ですが、咲いてみれば思った割に寒くてかわいそうですね。



しかし生まれたその時のその場所で精一杯生きなければならぬのも、花も人も同じでございます。



今年も着物・染色・香・お茶・精進料理など今まで以上に勉強を重ね、次世代にお伝えできるようにしなければと思っております。


本年もどうぞよろしくお願いいたします。


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