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江戸時代からのコロナウィルス対策

2020年3月2日 22:02  草花の色 


10年ほど愛用しております草木染・手織り紬でございます。

帯締めは「道明」帯揚げは「雪乃いろ」より


私の暮らしは、江戸時代を中心に考えることが多くございます。

進みすぎ、様々なものを諸外国から取り入れ、自国の姿が見えなくなっている今の日本が振り返る時代は江戸であると思っております。

皆さんは、インフルエンザという風邪が最近のものと思われておりますが、実はインフルエンザは江戸時代前からございます。

インフルエンザという病名が日本に伝わったのは幕末頃ですが、一般的にこの名前が使われるようになったのは明治時代に入ってからとなります。

江戸時代には27回もインフルエンザが流行し、約8万人がなくなったそうです「日本疾病史」


江戸時代に比べ、今は医学も進歩しており、研究も進み、インフルエンザで命を落とす確率も少なくなりました。


今回のコロナウィルスも同じ流行性感染症でありますが、実態がつかめない部分に恐怖を感じているのであって、風邪の一種には違いありません。

私達ができることは、江戸時代から変わらず、自身の体力、精神力を保つこと。

それが、免疫力に繋がります。


それともう一つは、烏梅です。

烏梅は紅花染に使う梅の燻製です。



一般的には漢方薬ですが、この烏梅の酸が美しい紅の色を発色させ、定着させます。

烏梅は梅の実を釜戸の煙で黒く燻し乾燥させたものです。

現在国産の烏梅は奈良の月ヶ瀬村の中西さん一件のみで昔ながらの作り方で生産されております。

染色の媒染も化学薬品が多くなりましたが、昔ながらの烏梅を使った色とは大きな違いがございます。

黒い方が烏梅で、赤い方が紅花を乾燥させて作る紅もちでございます(米沢の新田さんのもの)

この二つで美しい紅花染めが可能となります。


4月からの日本橋三越の草木染め講座ではこの烏梅を使った古式の紅花染を体験していただこうと準備中でございます。


さて、この烏梅ですが、話を戻しますと私は毎朝飲んでおります。

もともと漢方薬であり、日本では1712年発行された江戸時代の百科事典「和漢三才図会」に烏梅は「肺・碑二経の血分の薬である」と記載されております。

インフルエンザを含む悪性流行疫病を治し、咳、熱を止めると書いてございます。

肺に効果があるということはやはり今回のコロナウィルス対策には良いのではと思って毎日飲んでおります。


奈良の月ヶ瀬村の烏梅はネットでも購入できます。

そのままお茶として飲まれるのが良いのですが、慣れていない方には多少飲みづらいかもしれません。

(私は毎日大変美味しく飲んでおりますが・・・)



初めての方は台湾製のこちらが飲みやすいかもしれません。甘みが少しありますが、酸っぱさと甘さのバランスが良く美味しいです。アマゾンで購入できます。


咳が出る、熱がある、体がだるい、頭が重いなどの症状に是非お試しください。

何より肺を丈夫にすることは今回のコロナウィルス対策には重要なことのように思います。


また、毎朝、お香を焚くことも大事なことでございます。

白檀は、天然の除菌・殺菌効果があり、部屋の淀んだ空気を清め菌の繁殖を抑える効果がございます。

会社でお香を炊けない場合は、塗るお香の「塗香」をお持ちになり、手にこすって香りを吸い込むことで、リラックスと除菌効果の両方に期待ができます。


薬に頼るだけでなく、自分でできるメンテナンスは江戸時代から学ぶことが多くございます。

私は染色を行いますが、この染色は単に色を染めるということだけでなく、薬草のエキスを吸い込むことで自身の自律神経のバランスや、体調を改善するために大変役立っております。


[着物]を着ることは内臓を正しい位置に置き、帯は腰を楽にいたします。

[足袋や草履]は、足の健康のために。血圧や心臓のために。

[茶道]はカテキンやビタミンCを多く摂ることで、いつまでも若く健康で。

[染色]は薬効を吸い込むことで、様々な疾患、婦人病などに効果がございます。

[香]は、自律神経のバランスや、常にリセットできる状態にするため。

私の日々の暮らしは不便なことも多々ありますが、健康には繋がっていてそれが支えとなっているのだと思います。



明日は節句でございます。

日本が一番きつい1週間を迎えており、お雛様をだす気持ちになれず、せめてもと、桃の花と菜の花を入れました。

花だけでもざわついた心が穏やかになります。

結局なんだかんだ言いましても、私はメンタルが弱いのでございます(泣)

本音を言いますと、少々暗い気持ちで過ごしております。


早くこのウィルスが終息の兆しを見せ、また元どおりの暮らしになってほしいと願っております。



烏梅について詳しく知りたい方は、水上勉の「紅花物語」を読まれますと月ヶ瀬村のことや紅の話がとてもよくわかるかと思います。







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