日本の色を学ぶ事と茶の湯の事
帰省の際、今年の3月に武者小路千家流茶道・道名を頂けましたことをゆっくりと報告できる事に、喜びを感じております。
官休庵における道名は、家元で修業をした職分の先生方や数名の直門社中のみに限り授けられるものでしたが、不徹徹宗匠が還暦を迎えられた平成十八年より、茶の湯の道に長年精進し、流儀の伝授普及に貢献された社中の方々にも授けられるようになりました。
京都では代表でお家元に感謝のお言葉を述べさせて頂きました。
また先日は根津美術館の青山茶会の際、お家元が濃茶席を担当され、水屋に詰めさせて頂き、普通では考えられないような貴重な勉強の時間を過ごさせていただきました。
ここ数年、明治神宮・東京国立博物館・東京美術倶楽部など有吉先生が担当される数々の茶会やスパルタ指導のお陰で、まだまだ未熟者ですが何とか茶人として末席を汚させて頂いております。
現代は様々なコンテンツがあり、新しいビジネスの考え方、コミュニティ、今までになかった資格など、情報が溢れるほどあり、どれを選択致しましても正解なのか不正解なのかわかりません。
目新しいものに飛びつき、続かず辞めて、また次のものに向かうという少し下の世代の方々を見ていると、浅く広くであればそれも良いように思うのですが・・・・。
ある程度の年齢になった時に、一本筋の通った道を地道に歩いて得た経験と、あちこちに飛びその場その場で楽しんできた時間とを比較し、どう思うかを少し心配いたします。
私は、着物という軸から、茶の湯、香司、染織、精進料理・・・自分の知識を高めたいと和について様々な勉強をしてまいりました。
どれもすべて身になり、それらが総合して伝統色彩士協会の代表であると思っております。
日本の色はただ色を学び教える事だけでは、完成いたしません。
茶室の色・茶花の色・香の原料である染色・織から表現する糸の交わりの色・自然の色を表現する精進料理や和菓子・それらの色を学び、背景を理解することが日本の色を伝える先生であると自負しております。
和のパーソナルカラーはそれらを理解することで、海外の色では表現できないゆらぎの色をも理解するのだと思います。
これからも茶道教授としてまた伝統色彩士協会の代表として本当の日本の色を伝えていくために精進していかねばと思っております。