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吉岡幸雄先生の訃報

2019年10月1日 21:40  


日本の伝統色の世界で師として先生の本から全てを学びました。

源氏物語から色が広がり、日本の色の表現の素晴らしさと古典文学との繋がりに強く惹かれ勉強してまいりました。

吉岡先生の本から草木染めの技法を探り、小さなマンションの台所で一晩中染めに没頭した頃のことを思い浮かべております。

着物の世界の色を木村孝先生、技法や歴史は吉岡先生と、お二人がいらっしゃって今の私がおります。

とはいえ、私など先生方の足元にも及ばぬ小さな存在であり、恥ずかしい限りでございます。

吉岡先生は73歳とお若く、これからまだまだ先生の活躍を楽しみにしておりましたので、大変驚いております。


先生方がいなくなってしまって、ふと思うことがあり、ブログを書いております。


着物は自由なファションであり、しきたりや決まりごとに縛られずに、楽しむものである。

そういう気持ちである反面、茶道を長く学び、お茶の世界での決まりごとからの着物という観点も持ち合わせております。


お若い方からは気軽な先生であり、先輩方からはあまり道を外さない後輩という見方をして頂きたく、うまく中間の立場をとってまいりました。良くいえば話のわかる先生、悪くいえばずるい人間でございます。

しかし、もし私が今後自由で好きなように着物を着ることを重点に起き、それを良しとしてしまったら、昔のしきたりや決まりごとはこの日本から消えてしまうのではないか・・・・・。

伝統色や草木染めにこだわらず洋の色でコーディネートをするように提案してしまったら・・・・。


そう考えたら怖くなってしまいました。

着付け教室の先生も若い方が多くなり、以前と比べて柔軟な考えを持つ方も多くなりました。


それはそれで大変良いことであり、敷居を低く一人でも多くの方に着物に興味を持っていただきたいと思っております。

では私の役割は?

夕食の後、自問自答いたしました。


私はどうあるべきか。

私だけは、決まりごとに沿い、主とするものから離れることのない、基本の先生であるのが望ましいのではないか。

私一人ぐらいそんな先生がいても良いのではないか。

そうすることで、逆に若い方が相反する自由度の高い着物スタイルを提案できるのではないか。

陰と陽があるように、表と裏があるように、決まりごとがあって、決まりごとのない世界が存在するのであれば、私は決まりごとを守っていくのが義務であるように思いました。


若い世代の着物はお若い方にお任せしてもう良いのでしょう。

私はもう50歳を少し過ぎております。

50歳を過ぎたら着物とどう向き合うべきか。

大人の女性として、どのように着こなしていくのが望ましいか。

また皆様と共に、お勉強して参れたらと思っております。

















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