キモノのこと

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不要なものから贅沢を生む

2017年6月2日 14:41  

きものを頻繁に着る人にとって、必ず1枚ぐらいは不要となった長襦袢があると思います。


私もサイズが合わなかったり、しつけ付きのものを頂いたり、使っていない襦袢が何枚かあります。

小さめの襦袢は普段に気にせず着れますが、大きいものは仕立て直さないとなりません。

とはいえ、仕立て直すほどでもないし、人にあげたりもできないし、まして正絹なので処分も出来ないし・・・とそのまま放置。


ところが今年の春先、たまたま季節の変わり目でアレルギーがひどく肌が荒れてしまい、パジャマをシルクに変えようと思った時、ふとこの長襦袢を寝間着にしては?と考えました。


どうせ大きいので、いったんシルク用の洗剤で洗い、十分縮ませてから両袖を短く切って、余った布を紐にしました。


これだけの事ですが、とても着心地の良い最高の寝間着になりました。


緑は袷の襦袢なので秋冬用、ピンクは単衣なので春夏用です。

もう縮ませてあるのでネットに畳んで入れ洗濯機で洗い、軽く脱水してから干しておくと、しわも気になりません。


一昔前の絹は質が良いので、滑らかで気持ち良いのです。


昔の映画で、「女が階段を上がるとき」という溝口健二監督の作品がありますが、銀座のバーのマダム役の高峰秀子さんが風邪をひき、縮緬の正絹の襦袢で寝込んでいたら、母親からなんて贅沢なことを!!と怒られるシーンがあります。


その時彼女は「夢を売る商売だから風邪をひいてもこういう風にするのよ!」みたいな反論を言っていました。


何だか私もすごく贅沢な気持ちで毎晩寝ています(笑)


シルエットも綺麗でエレガントなので、朝洗面所に写る顔がやつれていても、それなりにいい感じです。


夏は着古した浴衣で寝たりしますが、朝になると時々はだけてすごいことに(苦笑)

なので紐は内側1と外側2の3か所につけました。


紐が細いと、バリウムを飲むときの検査着みたいになってしまうので、リボン風に太目で。


ちなみに夏用に絽でも作りましたが、あまりに透けるのでちょっと恥ずかしくて着れません(汗)

単衣は洗い替え用にもう2枚作ってあります。


一見不要なものでも、見方や考え方一つで、このような贅沢品にも変わるというのが、とても嬉しい事でした。


皆様もぜひお試しくださいませ♪♫





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