女性は顔でなく肩と首
2020年1月5日 19:53
「老いてもなお雪のこぼれる儚さを」
50歳を過ぎまして、皺が増えても、白髪がチラついても、それで良いと思っていますが、いつまでも儚さは捨てたくないのでございます。
若さに執着するわけでもなく、美しさを競う気持ちもございません。顔など皆同じように年をとるのです。
ただちらつく雪が肩に積もるようなしっかりとした体つきにならぬよう、羽織を滑って落ちていくような肩と首でいたいとは思うのでございます。
衣紋掛けのようだった若い頃の肩幅に戻りたくない。
それは老いることよりも恐怖であります。
着付けの仕方、生地の選び方、日常の肩の使い方、整体、矯正など小さなことの積み重ねで今の肩がございます。
長年のコンプレックスをまだ完璧に克服できてはおりませんが、努力を怠った瞬間にきっと夢が覚めてしまうような気がいたします。
半襟の出し方も、少し分量が違うことで自然な色気を出せるようにしたりしております。
均等な半襟、皺一つない着付け、完璧な形の帯揚げの結び、画用紙を貼り付けたような綺麗なお端折り。
50歳を過ぎて色々なところにたるみの出てきた体には、それではあまりに堅苦しく、できればどこか余裕のある着付けにしていきたいと思うのでございます。
着物にはその人の生活や生き方がでます。
私はこだわりのない、でも柔らかな儚さを持って年を取りたいと思っております。
そのような着物姿を目指して、日々研究しております。
大人の美しさは今流行りの化粧品やメイクや髪型やファションで作るのではなく、弾ける若さとは対照的な一歩下がった奥ゆかしさと、知性と優しさ、少しの弱さです。
それがありませんと、怖いものなど一切ない厚かましいおばさんになってしまうのです(笑)