プロの着付け師
先月の美しいキモノの撮影の際、着付け師で着物スタイリストの奥泉智恵さんとご一緒させて頂きました。
奥泉さんは私のクロワッサンの撮影の際も担当してくださしましたが、あの時は自分の着付けをお願いしたので客観的に彼女の仕事を見るという立場ではありませんでした。
(奥泉さんに着付けしていただいた時の写真)
今回は監修のような立場でもありましたので、着付けの様子をじっくりと拝見することができ、またプロの仕事の凄さを全然理解していなかったのだとあらためて感じた日でもありました。
彼女が撮影専門の着付け師さんの中でトップであることはわかっていましたが(美しいキモノ・25ansなどの着物スタイリスト)何をもってトップであるのかを明確に残しておきたい為に今回は書いています。
印象が柔らかい
着付けは体を相手に任せるもの。
数々の女優さんを担当しているだけに、プライベートなものをさらけ出しても大丈夫という安心感を持たせてくれる雰囲気があります。
無駄な会話はないのですが、醸し出す雰囲気が優しいので緊張することはありません。(人間性の問題であると思います)
着物を触る手に一切無駄がない
撮影の際の着付けの時間が十分あることは殆どなく、限られた時間の中で仕上げなければならない仕事が多いせいか、無駄な動きのない流れるような着付けです。
手かずが少なくあっという間に仕上がっているのです。
ポージングやアングルによって変わる首の長さなど、それを考慮した襟合わせ
どんな場所での撮影なのかが頭に入っているので、そのアングルでどう見えるかを考えて決めています。
胸回りをスッキリさせるか自然に見せるか、着物の雰囲気によって変える
動いてしまえば崩れてしまうのですが、撮影の際には重要なポイントになります。
帯の仕上げが美しい
たかがお太鼓と言うなかれ、その美しい結びは後ろ姿を撮影するために完璧な形で作られています。
帯の良さを最大限に魅せるための技です。
驚異的なポージングの細かさ
美しいキモノのスタッフの方々が皆さん口を揃えて言うのは、奥泉さんのポージングの作り方の完璧さ。
着物と人物を最大限美しく見せるとはこう言うことなのか。
プロの仕事の凄さをここではっきりと認識しました。
長い年月美しいキモノがどうやって撮影されてきたかを知ることとなります。
ポージングというと日本舞踊などをやられている方が、首筋や手の使い方ではんなりとした女性の色気を醸し出ものも多く、それはそれで皆さんのイベントでの撮影であればとても楽しくて良いのだと思っていますが、雑誌の撮影となると適応できません。
着物そのものでなく着物を着ている人物を前に出したい撮影の場合は、その人を見て欲しいので表現も変わってくると思います。
一概にこれが良い悪いと決めつけることは出来ませんが、雑誌の撮影では腰を曲げたり膝を緩めたり、手にオーバーな表情をつけたりということは一切なく、すくっと真っ直ぐに立ち、そこから何度も少しづつ微調整して表情を出して行きます。
細かく細かく動かしていくので職人の作業のようです(笑)
しかしそういうポージングの方がモニターで見るとオーラが出て美しい。
反面、私のインスタやブログの数々の写真は素人の最たるものと自己嫌悪。
あまり美しくない。
そもそも顔を出さなくてもコーディネートの紹介は出来ます。(気づくのが遅かった・・汗)
これからはどこかに行った際に撮ってもらう写真や仕事の写真、みなさんと一緒の記念写真以外は顔出しをやめようと思いました。
今回は雑誌の写真なので悪しからず・・・。
夏号のモデルは割とストイックにお仕事をされているキャリア女性。
奥泉さんのポージングが入ると、一瞬にして凛とした女優になります。
その美しさはため息が出るほどでした。
スタッフさん達も数々手がけた女優さんの撮影と何ら変わらないと感嘆していました。
早朝から丸一日かかった大変な撮影でしたが、最後まで美しい表情で撮影に臨んだ彼女に、女性の底力も見えた気がします。
この着物の持つ素晴らしさを多くの人に知って欲しい。
それは私と彼女の共通の思いでした。
昨年の暮れから一緒に準備をして、無事撮影を終え感無量です。
美しいキモノ夏号。
見開き2ページの特集です。ぜひ楽しみにしていてください。
私もこの撮影で一区切りとなり、次の挑戦に向かって進んでいます。
着物の未来は明るい。
そう信じて常に前を向いて行きましょう。