キモノのこと

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夏の襦袢

2021年6月1日 18:48  木綿


中里ようこの手織り木綿に、絹糸としな糸を織り込んだ、野の花工房さんの草木染め八寸。

しな糸だけでは固いのだが絹糸が織り込まれているので、柔らかさが出る。


仕事着として着物を着る場合、朝から夜までずっと着物で作業ということもある。

快適かどうかといえば、洋服の方が楽であろうと思われる。

おしゃれで着る場合と、仕事で着る場合とでは、着方が違う。

仕事の時は長時間着崩れなく苦しくないというのが大前提である。


そういう意味で、一番楽なのはやはりふぁんじゅの長襦袢となる。

襦袢に一本も紐を使わずとも、長時間崩れることはない。

襟も動かない。

綿100%だが、糸が細く絹のように滑りの良い素材なので、着物の下でもたつくこともない。

もちろん吸湿性もあり、簡単に洗える。

着物を着ているということを忘れてしまうような感じだ。

袖は着物につけるか、ふぁんじゅにちょこっと付けてしまえば問題ないが、夏はそのままでも良い。

おしゃれな柄の長襦袢を楽しむとか、夏に麻の長襦袢を楽しむとか、そういうことではなく、ただひたすら快適に着物を着るということではこれに勝るものはないと思う。

またこれから迎える劇的な暑さの中で着物を着なければならない時は、紐は一本でも少なく、襦袢に伊達締めもない方がいい。


私は絽の長襦袢・小千谷の長襦袢、ローズカラーの長襦袢を夏に使っている。

そのほかKIMONO MODERNさんのレース半襦袢も使っている。

しかし、紐もなく被るだけのふぁんじゅは、更年期になって辛かった時や灼熱の暑さでの仕事の時本当に助かった。

エレガントな気分の時や短時間のお出かけには普通の長襦袢を使うが、着物はシーンによって選択肢があって面白い。

とにかく、夏の着物は戦いでもある。

どうやってやり過ごすか工夫を凝らさなければならない。



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