マイナス5㎏の着付け
先生痩せましたか?と聞かれることがここ最近時々ございます。
特に体重なども変化はございませんが、少しづつ着付けを変えております。
今までは仕立ての段階から痩せて見えるスマート仕立てや、抱き幅などを狭くしていただく方法など色々模索して参りました。
着物は基本直線で作られるものですので、極端に幅を狭くしたり広くしたりすることには限界がございます。
また、頂き物やお下がりなどの着物はサイズもまちまちですし、叔母の太っていた時の物と痩せていた時の物とでは前幅・後ろ幅なども違っており、仕立て直すにも大変でございます。
マイサイズのものは確かに着やすいのですが、仕立てに関して言えば今の物より昔のものの方が上手いと思う事も多く、むやみにほどいてしまいますのも勿体ないと思ったりいたします。
やはり基本に戻り、どんなサイズのものであっても自分の体にあうように着つけていかなければと思っております。
左の写真が今まの着付け、右がマイナス5㎏の痩せを意識した着付けです。
どちらも補整は一切しておりません。
肌襦袢・下着も同じものを使っております。
A なで肩に見せるということはどんな場合においても重要と考えており、肩幅を狭く見せるよう、肩に乗る分量を少しにしております。(なで肩効果)
B 首を長く見せることにより、すっきりとしたフェイスラインを作ることができます。(小顔効果)
C 前のVラインを広くして面を強調しており、衿幅を鎖骨くぼみの部分にまでしっかりかかるようにすることで衿のふっくら感で補整代わりにしております。(胸元補正効果)
D 衿幅は胸のあたりで広くすることで、面で胸を押さえます。
E 抱き幅を狭くすることで、胸が小さくすっきり見えます(胸を小さく見せる効果)
F 帯揚げをふっくら出し胸にかけ、胸のふくらみを帯揚げのふくらみに利用いたします。こうすることで、帯に胸がのってしまうような感じになりませんし、胸の位置も高く見えます。(胸の位置を高く見せる効果)
G 左は前帯をぐっと下げてきておりますが、右は帯の位置を少し高めにして直線にしております。お若い方は下げても逆に粋な感じで良いのですが、私達の世代ではむしろ下げない方が若くすっきり見えます。(腰を小さく高く見せる効果)
着物は年齢を重ねたら、あまりおばあさんにならないよう、むしろ意識して着なければならないのだと思います。
地味な紬を楽に着ておりましたら、ある日祖母にそっくりな姿で驚いてしまいました(汗)
私の記憶の祖母はすでに70歳を過ぎていますので、それと同じ姿というのもいかがなものかと(笑)
また女性らしさも意識しませんと、すぐに無くなってまいります。
滲み出る女らしさは、沢山の女らしさが表にふとこぼれてしまうということ。
わずかな女らしさしか持ち合わせていなければ、こぼれるどころか吸収されてしまいます。
宇野千代さんも、森光子さんも90歳を過ぎてもなお、色っぽさやあでやかさをお持ちでしたので見習わなければなりませんね・・・・。