重要無形文化財指定・本場久米島紬
久米島紬の特徴は、全工程を一人で成し遂げるということです。
城田ツルさんが織られた久米島紬です。
といっても証紙にそう書いてあっただけで、いつの時代のどんな織り手さんかわかりません。
最近の無農薬の野菜などは、どんな方が作っているかなどを知ることが出来て、時々手紙が届いたり、私もメールでやりとりさせてもらったり、交流しながらその時とれるものを分けて頂くのですが、
きものは、証紙と織り手さんの名前だけですので、有名な人間国宝の方か、作家さんしかお顔を知ることは出来ません。
なので、私が大切に着ていることもお伝えすることが出来ません。
織をやるようになってわかったのは、きものは自分の手で大事に育てたものを、養子にだすような気分なのではないかしら・・。
誰かのもとに行き、大切に着てもらえてるだろうか?気に入ってくれているだろうか?そんな風に思うような織り手さんもいると思います。
だからこそ、自分の手元に来たら、仕立てる前に、はさみを入れる前に、しばらく眺めて、
お茶を飲みながらまた眺めて、それから仕立てに出します。
いまだに仕立てに出すのをためらっている着尺が何本かあります。
ただそばにいてくれるだけで、満足なのです。
久米島紬は図案作りから始まり、山に入り染のための植物を採取、糸を括り、絣を作り、糸を染めます。紅露(グール)テカチ・山桃・福木などで草木染をして、泥染めを何回も繰り返し、深みのある黒を出し、最後は「きぬた打ち」で仕上げます。
300回~400回叩かれると、糸も織もしっかりとして、なおかつ体に着物がなじむような柔らかさや絹の艶感が出ます。
柄は琉球絣。
これは代表的なトゥイグァー(鳥)の柄です。
このきものを着て、何度か失敗をしております。
一度目 蕎麦屋にて=汁はね
二度目 玉ひでにて=半熟卵吹き飛び
三度目 椿屋珈琲にて=フルーツサンドの生クリームをこぼす
しかし黒地であるせいか、水で濡らしたタオルでちょっとふくだけでどこにシミがあるのかわからなくなります。
いやあ、手間のかからない良い子です。