サステナブルな染色
栃木で活躍している協会の診断士赤羽郁枝ちゃんが、たけのこの皮を染色用に送ってくれました。
弟子達がその時々で調達できる染料などを送ってくれるのが本当に助かります。
たけのこの皮は、ご家庭では本来捨ててしまうか、昔は乾燥しておむすびの包み紙などに使いました。
伝統色彩士協会では、コロナ禍に入った時からサステナブルな活動に力を入れています。
捨ててしまうものから色を得る。
地方の農家との連携を取る。
社会貢献のできる染色を目指す。
人と人の繋がりを大切にしていきながら草木染めという世界を共有していきたいと思っています。
さてたけのこの皮ですが、染色に適しているのはできるだけ黒い皮が望ましいです。
さっと洗って、鍋が小さければ細かく切っても良いし、そのまま煮出しても良いです。
水から入れて沸騰させてから20分
液は茶色に見えますが、わずかに紫が入っています。
濾しながら染液を取り出し、染めるものを入れます。
今回は絹の帯揚げでしたので、精錬や豆汁の下染はしていません。
染料は沸騰せず70度〜80度ぐらいで30分。
時々酢を少しづつ入れながら染めていきます。
そのあと自然冷却させます。
青磁色にしたかったので媒染は銅にしています。
媒染時間は15分です。
媒染前はピンクベージュでしたが、銅媒染で一気に青磁色に。
そのわずかな15分間は、夢を見ているような気持ちでした。
食べ終わったたけのこの皮から、紫陽花の咲き始めのような青磁色に染まりました。
私にとって染める事は色を出すだけでなく、自然と繋がるコンタクトのようなもの。
癒しの染色でなければ意味がないと思っています。
日々の暮らしの中では、どうしても濁りみたいな嫌な思いをしたり、見たくないもの、知りたくなかったことなどがあります。
携帯を開けば様々な情報が一気に押し寄せます。
染色の時間はそれらと別世界の次元のものなので、それでバランスが取れます。
現実だけでは苦しくなってしまいそうなので(笑)
さて、明日は町田の障害者施設「大賀藕糸館」にて紅花の間引き菜染めのワークショプです。
紅花は花の部分だけが染色として注目されますが、花が大きく成長するためにある程度若菜を間引く作業があります。
その間引いた若菜には驚くほどの栄養があり、他の青菜に比べてもポリフェノールやビタミン、食物繊維が多いのです。
そして染色ではまたこれも強い色が出ます。
捨てるはずの葉から色を取り出す。
そして障害者施設の方々との輪が広がり、社会貢献に繋がること。
サステナブル染色の一環です。
自分だけ得すれば良いとか、自分だけ幸せになれば良いという気持ちでは、お互いが得することだけを考え繋がりは希薄なものになります。
相手から奪うのではなく、与えることが先です。
お金じゃなくても知識や愛情や思いやりなど、できる事は沢山あります。
そこから信頼と敬愛が生まれると思います。