母から娘へと繋ぐ着物
派手になり着れなくなった着物は随分と処分してしまいました。
娘に残そうかな。
そう思ったのですが、あの頃はまだ娘も大学生でその生活ぶりを見る限り私の着物を受け継いで着るとは到底思えませんでした。
しかし大学院を卒業する時、少し地味かと思ったジュサブローの着物がよく似合っていたので、ああ、これならあの着物達を残しておくべきであったと少し後悔しました。
とはいえ、大量にある私や祖母や叔母の着物の中には、私が着たら若作りに見えそうな着物がまだ残っています。
今回はそれらを娘に着せて、親子コーディネートなるものを少しの間やってみることになりました。
着付けとヘアセットは長く協会にいて、伊勢丹三越など主に百貨店などの着付け部門を担当してきた宮田成美に任せ、スタイリングは二人で色々と考えながらやっています。
今回はアンティーク着物編。
派手なアンティークの着物は四十代までは何とか着れていたのですが、50代に入ったらあっという間に難しくなってしまいました。
発色が強いものが顔に負けてしまう。
そう思うと、優しい発色の草木染めの着物は若い時よりも年齢を重ねてからの方が良いのだと改めて感じます。
大人のアンティークは色を抑えて、発色が強くないもの。
小物も同系色であまり奇抜にせず、品よくまとめる。
それでもアンティークの醸し出す独特の雰囲気が、普通の着物とは違うのでどこにでも着ていけるとは思えません。
また黄色みのある色は苦手な色ですが、年齢を重ねて肌に黄色みが入るようになりバランスが取れるようになりました。
むしろ、クリアな強い青みの方が老けて見えるように。
くすんだ紫や藍ぐらいがちょうど良いです。
ビンテージとアンティークの定義は違うのですが、やや古くても価値のあるものがビンテージ着物であり、アンティーク着物は価値がどうのこうのより大正浪漫などのレトロな雰囲気を持つ古い着物となります。
ただ可愛さから言えばアンティーク着物は女性の心をときめかせるものがあります。
ビンテージ着物は是非次世代に残して大切に着たいと考えていますが、ビンテージでなければ普通に昭和後期や平成ぐらいまでのやや新しい着物を着る方が着付けも楽で、帯も合わせやすいです。
今の私達が祖母や叔母の着物をお下がりで着るのはちょうど良い時期でもあります。
私のビンテージ着物といえば、千葉あやのさんの麻の着物と龍村平蔵の袋帯あたりが一番古い年代です。
娘の場合アンティークは強い発色こそ肌も生き生きとします。
ファッションとして着物を着ることができる世代ですので、アンティークであっても茶会以外は問題ないでしょう。
若い子は冒険も良いし、着物をそのまま普通に着るのではなく、様々なアレンジを加えても良いと思います。
何も古臭い大人世代のしきたりに縛られる必要はありません。
ヘアアレンジはマドモアゼルユリアさんの雰囲気を取り入れたそうです。
前から見るとサイドの張りがやや日本髪に見え、サイドから後ろはとても美しい。
古典的でもあり、斬新でもあります。
前髪があること前提のヘアスタイルだとは思いますが。