日本橋三越クラス開講
昨日は日本橋三越の着付けクラスの初回でした。
アシスタントの宮田さんは伝統色彩士協会立ち上げの頃からのお弟子さんなので、同志のような存在でもあります。
日本橋三越は越後屋から明治37年に三越呉服店となり現在の「三越」の名称になったのは昭和3年です。
私にとって三越は着物好きな祖母との思い出が沢山ある場所で、日々の生活の中で特別な事を体験できる場所でした。
お芝居を観て美味しいものを食べ、帰りに祖父の好物を買って帰る。
お中元やお歳暮も必ず三越で。
入学式、卒業式、節目の服や父のスーツ、母の眼鏡や宝石。
出産祝いや還暦のお祝いの品・・・。
一家の行事には必ず三越が関わっています。
そして何より呉服の三越。
その三越で着物の先生として働ける事を祖母は大変喜んでいると思います。
三越ではもう10年程講座などをやらせていただいています。
色やコーディネート、染色など。
着付けを教える事はありませんでした。
正直言いますと、実は皆さんと一緒に長襦袢になったりするのがとても恥ずかしくて・・・。
最近は着付けの動画など沢山あるのですが、私は古い人間で、どうしても長襦袢=下着と教わりましたので、他人に長襦袢姿を見せることが出来ません。
風の強い日に、着物から長襦袢がちらりと見えてしまっただけで、恥ずかしいという時代に育ったので、その姿を知らない方にお見せするというのは勇気のいる事。
ちょっと大人の話ですが、学生の頃日活ロマンポルノを上映している映画館に、長襦袢姿の女優さんが看板に大きく出ていて直視出来ず目をそらして前を通ったという経験があります(笑)
ですので、着付けを教えるという事は私だけでなく皆さんの長襦袢姿も拝見することになり、女同士とはいえよほど気心が知れていなければ・・・なんて考えていました。
三越で着付けのクラスをと言われた時もそのことがよぎりましたが、あくまで茶室というプライベートな空間であること。また少人数制であることを考え、それではと了承致しました。
私は本当に古い考えの人間ですので、現代の考え方には付いていけないことが多く、そんな自分を変えようとも思うのですが、やはり難しいようです。
着物を着るということに関しても正統派な着付けしか出来ません。
季節を感じながら着物にそれを写していく。
それは自分自身のためでもあります。
着物を季節関係なくファッションとして自由に着てしまうと、軸がぶれて美しいという美意識が揺らいでしまいます。
控えめであっても日本人として文化の背景を着物と共に背負う形で着ていきたい。
若い方の自由な姿は楽しくて良いのです。
きっとそのように着ていきながら、本当の意味での美しい着物の世界に近づいてくれるのでは・・・・。
古い昔の絹の良さもわかってほしいので、お母様、お祖母様のお着物は処分せずに着てほしいです。
着物を生活の中心に置くと、食べ物や暮らし方にも変化があり、整っていきます。
吉田雪乃の着物サロン
日本橋三越カルチャーサロン
03-3274-8595
第2金曜日10時半〜12時半