仕立てをゼロから見直す
美しい着姿を作るために、着付けでどうにかなることと、仕立ての段階で改善できることの両方があります。
昨日は6月も終わりなので絽の小紋で。
きものは私にとって、生活の中心にあります。
常にきものの事ばかりを考えています。
それ以外は、機織りと茶道ぐらいです。
日々大切に着るきものが、どんな方に仕立てて頂いているのか、私の反物をどう扱ってくれているのか。
紙の上の数字でなく、実際の私の体のサイズや、着付けの癖や、全体の印象を知った上で仕立ててもらいたい。
昨日はそんな思いから、伝統色彩士協会の講師達と「ツキヒコ」さんの講習会を企画しました。
衿をどう抜きたいのか。
鋭角的にか、ラウンドにか。
胸の周りのしわがどの程度気になるのか。
抱き幅の余りはどうすれば改善するか。
何を優先して何を妥協して仕立てるのか。
前幅と後ろ幅の調整、着付けしやすい身丈など。
4時間電卓を打ち、数字とにらめっこしながら、何度も質問して納得いくまで相談してベストのサイズを出しました。
普通は経験がない人だと縫えないことがあり断られたり嫌がられたりしてしまう事もあるのだそうです。
そして、私という人間を充分に知った上で、「お預かりします」と反物をもちかえってくれました。
祖母は殆ど自分できものを縫っていたので、和裁士の話は記憶にありませんが、叔母の仕立てはずっと同じ和裁士さんでした。
高齢になり、目が見えなくなり、体調が悪くなり、もう仕立てられないと言われてから叔母は着物を新調していません。
どんなに素晴らしいきものでも、仕立てがダメであればすべて台無しと言っていて、何人か他の和裁士さんを頼んでみたようですが、そのうち仕立てを出さなくなっていたように思います。
ここ最近、自分で仕立てると、どうも着にくいきものや、ピシッときまらないきもの、ツレが気になるものなど・・・。
なんか嫌になってしまう事もありました。
反物を買うとどうしてもその呉服屋さんに仕立てをお願いしなくてはならなかったり、生徒のものを出すついでに自分のものも出したり・・・。色々な所でお仕立てせざるを得ませんでした。
どのような場所でどんな人が仕立ててくれているのかはわかりません。
あらためてサイズを測ってみたら、少し大きめに作ってあるものが数枚あり、がっかりです。
自分の皮膚の一部のように、無駄のないすっきりとした仕立てこそ、美しい着姿には大事だと思っています。
そして、自分で洗えるように正絹の紬の仕立てと長襦袢をお願いしました。
もちろん、縮みの問題、縫い糸の事、縫い方などしっかり聞いて、それならば大丈夫と納得してお願いできました。
若くてとても美しい和裁士さんですが、全国のコンクールなどでも数々の受賞歴があり、いかにすごい腕をお持ちかというのがわかります。
「着る人」と直接会える仕事にこだわり、「その人にとっての着やすさ」を大切にした仕立てを追及しているのだそうです。
でももう彼女は有名だから皆さんご存知の方も多いですよね。
一応リンクを張っておきます。
次回は、いよいよ正絹のきもの、長襦袢、どうやって洗う?洗えるものとあらえないものと・・・そのあたりの詳しい講習をお願いする予定です。
長羽織のすっきりとした採寸法なども・・・・。(長羽織って、後ろから見ると太って見えたりするのです)
昨日のお花は珍しく洋花の組み合わせ。
たまには気分が変わって良いものです。