キモノのこと

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雪乃つむぎ

2020年5月21日 11:06  



昨日と、来週27日の水曜日に、「NHK・BSプレミアムカフェ」にて草木染〜日本の伝統色シリーズの放送があります。

昨日は「志村ふくみ」来週水曜日は久米島紬の泥染めや藍染、紅花染についての放送です。

2000年の番組の再放送ではありましたが、キャスターの渡辺さんがこれからの時代は日本独自の草木染めの色の文化を大事にしていかなければという思いを語ってくださいました。


伝統色彩士協会は、常に「草木染めと伝統色の上に日本人に似合う色が成り立つ」というカリキュラムを大事にしており、ただコーディネーションを提案するだけでなく、その色の持つ背景や歴史をも理解することを大切にしています。


それが代表の私の願いであります。

これからはその願いをきちんと受け入れている講師を中心に新しいチームを組むことを考えています。


なぜなら今後、百貨店さんでの提案などでも草木染めの色をベースにしたイベントなどの企画がいくつか上がっており、それに対応する講師を強化しなければなりません。


コロナの影響で、自然素材、自然の色に心が戻りつつあるあるということでしょう。

当協会は、自由な考えで楽しく着物を着ることを重視してきましたが、これからは新しいチームの中でもっと色の専門知識に強い講師を育てることに集中していきたいと思っています。


さて、今日は雪乃紬のご紹介です。

米沢の野の花工房さんで作っていただきました。

桜・五倍士・藍・玉ねぎで染めた糸で、すっきりとしたモダンな中に、どこか懐かしさのある柄です。


野の花工房さんの染師は365日草木染めだけをしている職人さんです。

毎日のように草木染めをしている職人さんは日本中探しても彼一人ではないでしょうか。



着物は長く着るものです。

40代、50代、60代、70代になってもその着姿が想像できるものであること。

草木染めで変化してく色を育てていけること。

帯合わせで、どんな雰囲気にも持っていけるもの。

冠婚葬祭以外ならどんなシーンでも着用可能であること。


合わせた帯は、シナ糸と草木染の糸の手織りの八寸です。

五倍士とおおばひるぎで染めてあります。

シナは主に夏向きの糸ですが、絹と合わせることで真夏以外の通年の帯となります。

絹の糸のテンションとシナ糸のテンションが違うため、織る人はかなり技術を要します。


シナ糸は最初は硬いのですが、年数を経てきますとしっとりと馴染んで、経年の変化が楽しめます。

今は若々しいパリッとしたお太鼓ですが、10年20年もたてばしっとりと柔らかいお太鼓になり、背中が丸くなって来た頃にはその丸みに沿ってくれるような帯に育つでしょう。

そうやって着物の楽しみは続くのです。


さて新しいカリキュラムですが自分の為だけでしたら、こんな大変なものを作り上げるのは難しかったと思います。

五行思想、延喜式、二十四節気などと草木染めを総合的にまとめたものです。

そして源氏の姫診断も皆さんが個人診断に組み込めるようまとめています。


皆が少しでも仕事に付加出来るようにという思いと、新しい伝統色彩士協会に変わっていかなければならないという思いで日々奮闘しています。

そしてこのカリキュラムを各地で広げていけるよう、協会に沿った師範代を育てなければと思うこの頃です。






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