キモノのこと

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70点着付け

2023年8月22日 17:14  




今年はイベントが続いたせいか、本当に忙しい夏でした。

大手町縁日と星のや東京でのイベントが無事終わり、あとは週末の伊勢丹新宿店での振袖イベント「源氏の姫診断」を終えますとひと段落となります。

暑さの厳しい日が続きましたが、浴衣や夏着物を楽しみ、今週からは秋単衣の準備にかかっています。

少し前ですが、浅草に下駄の仕入れの用事で行きましたところ、いろいろな方にお声をかけられるという日がありました。

「いや〜良かった」

「あんたみたいな人がまだいてくれて安心した。ありがとう」

「今の若い人も、海外の人も、沢山着物を着てくれているけど、私らから見るともう着物であって着物ではないんだ」

同じような言葉を何人もの人から言われました。

キラキラした妖精のよう若い方の着物や、派手な柄の海外の方の着物姿が多い浅草では、昔ながらの着物姿の私はかえって珍しく見えるのかも知れません。


しかし、小唄の師匠も三味線の師匠も、あんたの着物姿は本当にさらっと着こなしていて、気負いがないし、自然でいいね。

そんな風に仰ってくださいます。

時々会うお茶の先生も、夏なのにいつも涼しげで見ていて気持ちいいわ!なんて仰って下さいます。

(本当は命がけで着ているのですが・・笑)


皆さん70代〜80代。

着物が普通に着物であった時代の先輩達です。


でも私は今の若い子の着付けも良いと思っています。

着付けの方法を様々に工夫すること、安いリサイクルを上手く使いこなすこと、洋のものとミックスするなど、かつて私も通ってきた道です。

若い時は着物を着るだけで満足で、自分の個性をどう出していこうかと考えるのも本当に楽しかったです。


私は現在57歳ですが、40代の頃には着物でも色々な悩みもありました。

老けて見られたくなくて若々しい色を研究し、着崩れしない着付けを工夫し、帯結びを研究し、採寸を研究し、試行錯誤で自分らしさを考えてきました。


今は、着物人生の秋に入っています。

この秋は一番長く、成熟した時期だと思っています。

年齢を重ねることは、若く見えなくては女性として価値がなくなるのではないかという呪縛から解放されて行くので、どんどん楽になっていきます。

そして着付けも、肩の力が抜けた自然な姿を良しとしています。


秋から、日本橋三越カルチャーにて吉田雪乃のモダン着付けの講座がワンデーでスタートします。

(詳細はまた告知いたします)

初回は衿元編(次回は帯周り編を予定)

お顔が丸いかた、細い方、長い方、短い方、小さい方、大きい方。

首の長い方、短い方。

いかり肩、なで肩。

着物はその人の雰囲気やイメージで着こなすものです。

その最たる人がIkkoさんです。

あの方の個性を出した着付けはどこか超越していてそれでいて美しい。


着物は痩せていてもふくよかでいても、あまりきちきちに着てしまうとかえって欠点が目立ってしまうのです。

どこか空気を含んで、完璧から少しマイナスぐらいが女らしい。

隙のない着付けでなく、隙のある優しい着付け。

それでいてモダンですっきりとしている。

それが私の理想です。


今の世の中、まるで重箱の隅をつついたように人の欠点やミスを指摘し。完璧であれば今度は鼻持ちならなくなるという、どっちに転んでも優しさのない人が多くなりました。

綺麗に着れなければせっかくの1日が台無しになるのだけは勿体ない。

そんな窮屈な考えはやめて、もっとリラックスして着物を楽しみましょう。


着付けもその人の性格に合わせて、神経質な人は一ミリのズレもなく、おっとりしている人は何となくゆるく、融通の利くものであってほしいと思います。


自装の着物は完璧に着付ける事が目的ではなく、着物を着るという楽しみが先です。


あ・それからね、肩の高さが左右違っていたり、、手の長さが左右違ったり、骨盤がねじれていたり、猫背だったり、お尻が出ていたり、お腹が出ていたり、胸はしっかりあるけど下がっていたり(最近の私)

体型って色々変わるのです。

まずは自分の体型の欠点を理解することも大事です。

そして補正に頼らずなるべく着付けの方法で上手く良いように持って行く。

補正をやりすぎるから着崩れる(大久保先生の持論です)

補正は最低限で・・・。


自装は70点ぐらいの着付けであれば良いです。

(他装は補正をしっかりとして常に100点でという気持ちでなければプロではありませんが)


皆さんと一緒に着付けもゆるっと楽しみながらお勉強できたら良いです。

ワンデーは浴衣などがご自分で着れる方。

来年から予定の定期講座は、着物を全く着たことがない方もOKです。



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