仏教と染め・果托
蓮の花の中央にある種ができる箇所を花托と言います。
花の時期を終え、花びらが全てなくなり緑色から茶褐色に成長した時に果托になります。
この果托で染めたものを「果托染め」といいます。
中国の明時代の書物「天工開物」の中に、「茶褐色 蓮の実の殻を水で煮出して染め、青礬水を上にかける」という一文があります。
また正倉院に伝えられる文書で天平六年に書かれたものの中に「蓮葉染四十二張」という記述があり、正倉院には実際に蓮の葉で染めた和紙が存在していたということになります。
2005年の染司よしおか工房だよりには蓮の葉で和紙を染める。薄い黄色に少し茶がまじった色に。
あまり色は出なかったと記されています。
実際蓮の葉で染めてみましたが、他の草と同様、黄色にしか染まりませんでした。
果托染めの方は、赤みのある美しい染液が取れます。
染料の煮出し方は少し難しく、浮いてこないよいうに重石を入れながらあまり高温にせずにじっくりと。
染液が濁らないように気をつけます。
染める時も生地が驚かないよう、びっくりしないように、人肌から少しづつ温度を上げていきます。
染料も生地も丁寧に優しく扱うことで色に透明感を出すことが出来ると教わりました。
ところで仏教と蓮の花は深い関わりがあります。
泥の中から成長して美しい凛とした花を咲かせ、さらに泥水が濃いほど大輪の花が咲くというその姿は、煩悩だらけの世の中に染まらず悟りを開いて生きるという仏教の教えの象徴とされています。
今の世の中は気がつかぬうちに批判だらけになりました。
そしてマスコミも煽るように報道しています。
泥の世界に染まらぬよう、美しい色に導かれて心おだやかに過ごしたいものです。
武相荘のある鶴川駅まで、電車ですと自宅から15分ほどです。
武相荘の近くに菩提寺があるのでお墓まいりをしてから武相荘のレストランで食事をすることが多いのですが、この時期ですので人も少なく、私たちの他は2組だけでした。
この数日肌寒くなりました。
特に夜は冷えますので、暖かくしてお休みください。