六条御息所と芥子
この帯の柄は細長い一重咲きの花弁ですので、嵯峨菊でしょうか。
相変わらずゆったりとした着付けをしていますが、締め付けないので楽に過ごせています。
体を締め付けることはあまり良くないと考えています。
特に胸を締め付けることは自律神経を圧迫して鬱傾向になると言われています。
ゆったり着付けは、そういう事が全くありませんので、健康にも良いと思っています。
前がゆったりしているのにお太鼓がビシッとしていてはバランスが悪いと思い、芯の柔らかい塩瀬を選んでいます。
着物は信州紬です。
きちんとした場所に伺う時はもう少しピシッとした着付けをしています。
急に寒くなり、すきま風だらけの古い日本家屋で暮らす私にはいよいよ覚悟の冬がやってきます。
ずっと暖かく冬とは思えない気温の日が続いてましたが、本格的に寒くなると心は弾みます。
絹の暖かさが身にしみて、着物を着ているだけで安心するのです。
沢山のお蚕さんが私を寒さから守ってくれているようで、包み込まれている気分になります。
ところで夏前に漢方医の先生から、私を取り囲んでいる外側のバリケードみたいなものが崩れてしまっていると言われました。
エーテル体のことか免疫のことかわかりません。
その隙間から病気などが入りやすいから気をつけるようにと。
結局その後、下痢と高熱でひと月寝たきりの生活を過ごす事となりました。
検査を繰り返しても原因はすぐにわからず日々焦るなか、一度洗面所で自分の顔に死相が出ていると気がついた事があります。
私はお化けなども信じていませんし見たこともありません。
しかし、その時、物の怪が取り憑いているという事を初めて感じました。
鏡に映った顔が自分のものとは思えなかったのです。
もちろん何も食べれず体重が落ちたことで顔が変わってしまったということもありますが・・・・。
知り合いのご住職様に相談して身を守る手立てをお教えいただき、足先から何かがずず〜っと抜けて行くような夢を見ました。
その翌日から体調は回復に向かい、あっという間に元どおりの元気な日々に戻りました。
あれから写経をする事、写仏をすることは続けています。
物の怪については以前源氏物語の六条御息所の研究で医心方を読んでいたので、それらを参考にしました。
芥子の香りは物の怪を退散させる為に焚く芥子の実の香りです。
六条御息所はこの香りが身体中に染み付き取れないことから自分が生霊であると自覚します。
私自身も目に見えない何かから身を守る為に、気持ちが落ち着かない時は松栄堂さんの芥子の実を焚いています。
またご住職様のアドバイスで、沈香を焚くことも続けています。
今はコロナ後の不景気で心が病んでしまっている人も多いと思います。
会ったことも話した事もない人に何故か良くない思いを抱かれたり、また電車の中で無差別な事件が起きるなど、何処でどんな被害に合うかわかりません。
自分の身をしっかり守るということは常に念頭に置かねばならぬ事と考えています。
今月発売のクロワッサンに愛猫の金太と共に私の半生のようなものをご紹介していただきました。
不安定な世の中にあって、日本人としての自覚を持てる着物が少しでも皆様に広がっていくよう常に願っています。