いろのこと

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成功も失敗もない

2022年10月4日 11:07  草花の色 



憎み合いの果てに何が生まれるの

私・私が先に忘れよう


藤井風さんの「帰ろう」という曲の歌詞の一節です。

頭の中から嫌なことや辛い記憶を消す方法があったらどんなに便利だろうと思うのですが、それが出来ないから皆さん思い悩んでしまうのだと思います。


私の着物の半分は叔母や祖母、またはお世話になったお茶の先生方からのお下がりです。

私の意思で買ったものではないので、欲しいと思って手に入れたわけではありません。

しかし、その着物が私を守ってくれています。

大事な会議や打ち合わせには必ず厳しかった叔母の着物を着ます。

そうすると不安がなくなり、全て上手くいくのです。


落ち込んだり、嫌なことがあった時はお茶の先生から頂いた着物を着ます。

沢山の弟子達と向き合う中で、嫌なこと辛いことなどが多くあったと思いますが、一切顔に出さず笑顔でいた先生の思いに守られると、元気になれます。


嫌なことは消せませんし、忘れることは難しいのですが、姿はなくとも味方でいてくれたであろう懐かしい人の思いに触れることができるのが、今の私にとって大切であり、そのために着物を着るのだと思います。


着付けが終わって家を出るときに「心配ないからね、大丈夫よ」という声が聞こえる気がします。


従姉妹とよく喧嘩をしていた幼少の頃、祖母は私に「あなたの方がお姉さんなんだから、折れてあげなさい。自分が悪くないと思っても許してあげなさい」そう言って頭をポンと叩きました。

その時、私は彼女より年下でお姉さんではないのに、何故そんなことを?と納得出来ませんでした。

しばらくして姉という言葉が、年齢を示しているのではないとわかりました。


夫と口論になっても、私は夫よりうんと年下ですが、姉のような気持ちで「しょうがない弟だなぁ」と思えば腹も立ちません(笑)


着物は優しく着るものであるというのが私の考えで、ずっと変わりません。

周りの人がホッとしたり、懐かしく思ったりしてくださるととても嬉しいです。

日頃草木染めをしているので、身に着ける物が自然に溶け込む色であり、自然と調和する着物姿でありたいと考えています。


今は、いろいろなことで地球が疲れてしまっています。

母体である地球が疲れていれば、そこに住む私達も疲れてしまっているのです。


良い世界と悪い世界があります。

悪い世界は独特の魅力があり、知らぬうちに引き込まれていきますが、

そこにいれば悪い言葉や、人を貶めるような事が待っています。


一見するとつまらないと思う変化のない日常でも

幸せが必ずある事

忘れないでください


成功も失敗も本当はないのです


私は大きな事業を作り上げたわけでもなく、大金持ちになったわけでもなく、ベストセラー作家になったわけでもなく、草木染で人間国宝にまでなったわけでもありません。

その場所の足元にも及んでいません。

入り口に佇んでいるだけで何も成し得ていません。

ですが心を許せる可愛い弟子達がいるというだけで私の人生は大成功です。





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