季節に寄り添う着物
今年もあと僅かとなりました。
年末年始の仕度も年々簡素になり、お正月飾りも最終的に処分してしまうものですので今年は小さいものにしました。
おせちもお重に少しだけ用意して、大したご馳走は準備していません。
正月用に新しい足袋を新調したり、干支の腰紐を用意したりという事もなく、此れと言って普段と変わらない生活で年始を迎えることになります。
マンションの時と違い、日本家屋となると掃除が大変で、小さいながらも庭の掃除もあります。
綺麗でござっぱりとしておけば新年を迎えるのに十分であると思っています。
今年の後半は尼寺に伺うことが何度かあったせいか、我が家の食卓も精進料理が中心となりました。
簡素で住みよく、衣類は着心地良く、質素であっても美味しい食事をしましょうという「月明提唱」にならった生活をと考えています。
着物も季節を意識して、その時々の草花や実のものに思いを寄せる姿でありたい思っています。
先日、ショートボブの髪に、同じ色でシニヨンを作っていただきました。
フォーマルな着物の時に使用できればと。
久しぶりにアップヘアにしましたが、それはそれで良いと思うも、やはり短い髪の方が私らしいと思うのですから、やはり内面的にも変化しているのだとつくづく感じます。
色半衿を使うときは、帯揚げと帯締めを同系色で揃えると、すっきりと品良くまとまると手元にある昔の本に書いてありましたが、何の本だったか忘れてしまいました。
重複しますが、後半季節の着物をもう一度。
[水玉の縮緬小紋に柿の塩瀬]
柿を色々な方から頂き、わざわざ買いに行かなくても良いのは助かります。
柿の帯は絵の雰囲気で好きかどうかで好みが分かれますが、私は生き生きとした柿より少し枯れている草木の柿が好きです。
非常に寒い日でしたので、冬枯れの重ねの色目を意識して、灰や橡など無彩色でコーディネートしました。
[染め大島に柘榴の帯]
近所のお宅の木から一つ、夫が頂いてきた柘榴の実。最近は柘榴の木も少なくなり、スーパーにもあまり出回らなくなりました。
娘が小さい頃から大好きでしたので、二人で美味しく頂きました。
[縮緬小紋に紅葉の塩瀬]
京都の紅葉は今年は見れませんでしたが、その代わり尼寺の紅葉が美しく、この日は友人と訪れました。
こちらで私は写仏を学んでいます。
現在こちらの精進料理の動画を製作中ですので皆さんにご覧いただけるかと思います。
[唐草紋様の小紋に嵯峨菊の塩瀬]
庭に咲いた嵯峨菊と南天を床の間に。
線の細い儚さを醸し出す嵯峨菊は、大覚寺で品種改良されたものです。嵯峨天皇の時代に大沢池で発見された菊が原種とされています。
今年は少ししか咲かなかったので、切るのに躊躇していましたら、少し元気が無くなってしまいました。
黄実の南天と一緒に。
[臈纈染め小紋に水仙の塩瀬]
年末には来年も良い年を迎えられるようにと水仙の花の帯を締めるとよいと祖母から聞きました。
しかしお茶をやっていた頃は香りの強い水仙は茶花では使いませんし、また水仙の帯も締めることはありませんでした。
今年は水仙が早く出回ったから、お正月には良いものが入らないかもしれないと近所の花屋さんに言われましたので、早めに飾り楽しみました。
それぞれにその季節の帯を締めてきましたが、これからはお正月、梅、桃、桜、春の草花の時期と着物の楽しみは続いていきます。
季節を纏うのが着物であるとすると、私達はこの美しい日本の良さを決して手放してはいけないと思うのです。
どうか生きる歓びの中に着物があり続けるよう、それが少しでも多くの人に伝わりますよう願っております。
来年春には、和のパーソナルカラー講座12期の募集がスタートします。
新しい年を皆さまと共に実りのある時間にしていきたいと思っております。
先日弟子から送られたきた山茶花を染めました。
またこちらは年末年始にご覧いただくのにぴったりな番組です。
NHKWORLDで放送されるExplore Japanという日本探求番組です。
友人が日本庭園編「第2話」を制作しました・
「魅惑の日本庭園」
The Alluring Beauty of Japanese Gardens
https://www.jibtv.com/programs/explore_japan/20211224.html
素晴らしく美しい映像で心が癒されますので、年末年始のゆったりとしたお時間に是非ご覧ください。
本年もこちらのブログを読んでくださいまして心より感謝いたします。
それでは皆様良いお年をお迎えくださいませ。