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2020年5月29日 08:10  草花の色 


古くからのブログの読者の方には重複する内容ですが、この時期の紫蘇染めについて。

紫蘇染は4年目になります。

草木染めは日光堅牢度が悪く、染め上がったものをいきなり太陽の光に当てて良いのは「藍染」ぐらいかもしれません。

できれば曇りの日の優しい光の方が適していますが一番良いのは月の光です。

染めをする時に、その植物の陰性と陽性を調べます。

陰性なら月の満ちていく時期に。

陽性なら欠けてく時期に染めます。

染め上がりに熱を加えず、自然の月の光で乾燥させていくのが一番綺麗な仕上がりになります。


物事には陰陽が常にあり、そのバランスを考えて動くようにしています。

色にも陰と陽があり、紫は陰が一番強いのです。

陽が一番強いのは真朱です。

陰と陽を中和させる色が緑になります。松葉などが一番中和率が高いです。



紫蘇は葉と茎を分け葉だけで染めます。

鍋で煮る時間の目安は、紫蘇の葉が紫だったのに緑の色になったらもう色素が出たという合図です。

それからクエン酸を必ず入れます。

分量は大きめの鍋の染料に対し40グラム前後と割と多めに入れています。


煮出す時間は30分ぐらいでも良いです。

明礬で色止めしてください。

明礬の量が多いと紫に近くなり、少ないと赤みが残ります。

私は絹に染めていますが、木綿ですともう少し薄い色になります。


染めをする理由ですが、まず植物の色を目で確かめることにより、本来の自然の色が脳にインプットされます。

色とはこんなに美しいものなのだと。

正しい色を知る事は、色彩士としての勉強の一つですので、何をどう染めるか、仕上げがどうかよりも、まず色を見る事が大事です。


世の中の商品は合成の色だけで作られていますが、本来の色を知ることで、合成の色の人工的な奥行きの浅さや攻撃的な強さに敏感になります。


紫でも、合成は平面的ですが、紫根染めはずっと見ていると色々な色に見え、吸い込まれるような深い色であるとわかります。


ピンクでも、合成のピンクは大人が着こなすには注意が必要ですが、紅花からなるピンクなどは、色に優しさと深みがあり、光によって変化するので大人が着こなしても品位を落とすことはありません。


人間も同じです。

表面だけの色の人間でなく、奥行きのある色の人間であればとても魅力的です。


引き出しを多く持てと弟子たちによく言うのですが、それは沢山のことに興味を持ちなさいと言うことではありません。

葡萄の房のように、一本の軸にぶら下がる粒であればどんなに多くとも良いのですが、軸から外れてしまったらそれは生かされる事はありません。

色の奥行きも、知識の引き出しも、その人の軸に沿っているものであれば深みが増していきます。


和のパーソナルカラーは似合う色を見ますが、表面的な美しさだけでなく、その人の内面に日本の色がどう働きかけるのかを見ていくこと。

これが後半の課題となります。


コロナ禍を経験した世界中の人が、バランスを崩すと地球を失う事になるかもしれないと言う恐怖に直面したと思います。

今はバランスが極端に崩れた世界に私達は身を置いています。


これからファッションも着物も身の回りのものを買うときに気をつけて欲しいと思っています。

広告や言葉などに惑わされぬよう、本当に必要なものを自分の心に問うように。

私達を助けてくださいと言う言葉で購買を促すお店や販売店がどんどん多くなります。


誰が誰をどのように助ける事になるのか。

なぜ私達が経済を回すために購入しなければならないのか。

誰のための経済なのか。

きちんと把握してから購入するように。

私も給食が止まって流通できないものや、店が閉まっていて販売できない食品業者さんのものは出来る限り買うようにしています。

しかし、中には緊急を要するものではなく、便乗しているような販売も多くあります。



私の心から故意にしている呉服店は「助けてください」とは一言も言わず、ただひたすら黙って耐えてくれていました。

慌てふためいて新しい取り組みをすることもなく静かに店を閉めていました。

その耐えている姿に品格を感じ、信頼が増しました。

辛かっただろうに、一言も愚痴を言わず「お客様に心配かけてはいけませんから、大丈夫ですよ」と言っておられました。

お休み中も従業員のお給料はきちんと支払われているんですと、お店の子が申し訳なさそうに話していました。


どの店も小規模な店ですが、やはりこのお店から買おう。

そんな風に思いました。


これからは店も経営も人間性を見られる時代になります。



伝統色彩士協会は、7月からスタートいたします。

6月中は、もう少し様子を見させていただきます。





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