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履物屋の女将

2023年6月11日 10:03  イベント





PCの調子が悪く、ここのところブログを更新できませんでした。

そして、娘の大学院卒業式の早朝に母が亡くなりまして先日無事四十九日を終えました。


母は20年近くの寝たきりの介護で、その間に父が肝臓ガン、義母がリンパ癌、義父が痴呆症のような状況になり何だか色々重なりましたが、幸いにも後半は施設でお世話になる事ができましたので、大変だったのは最初の10年ぐらいです。


また私もそういう介護の環境に慣れて、仕事と子育てと介護と、全力で走りきった感じでもあります。

今思えばよく乗り越えられたものだと不思議に思いますが、人生とはそういうものであると達観した気分でもあります。


私には実の両親もいますが、父も母も割と早くに他界しています。

娘として、養女として、嫁としての役割はこれで無事果たせたと思っていますが、自分の娘と夫の事はまだまだこれから何があるかわかりませんので、妻として、母としての役割は続きます。


さて、折り返し地点というにはいささか過ぎているものの、まだまだやらなければならない事も多々あり、毎日めまぐるしい忙しさで、ブログも書けずに走り回っています。

PCが直ったので億劫がらずにまた再開せねばと思っています。


ところで私がお嫁に来た家は、昭和30年に創業の履物屋です。

義父は郡山で中学から丁稚奉公に入り、東京に上京し職人として修行します。

のちに狛江市で独立して店を持ちました。

母は、福島では大変な名家のお嬢様でしたが、行き遅れたことで世間体を気にした祖父が、ある程度のお金を持たせて東京の義父の元へ嫁がせたそうです。

結婚するまで一度も顔すら見たことがなかったらしくそのことが一番悔しかったと義母から何度も聞かされています。


とはいえ着物業界が景気良かった昭和の時代は履物はバンバン売れ、世田谷区のマダムや女流作家さんなど顧客も多くいて、大変な忙しさだったそうです。


しかしお店は義父の体調が思わしくなくなった頃から休みがちになり、孫が生まれて少し経った頃に閉店しています。

学校の教員である主人と建築関係の義理の弟はもちろん店を継ぐなどあり得ないことです。


私も夫に草履や下駄の修理をお願いする事はなく、銀座のぜん屋さんに持っていったり、品川の丸屋さんにお願いしたりしてきました。


私は一番便利なカレンブロッソが履けません。

長年普通のお草履生活でしたので、踵を出し、鼻緒を足の指でホールドし、前重心でつっかけのように草履を履きます。

草履とはそのように履くものと義父は勿論「ぜん屋」さんや「小松屋」さんでも言われており、小さめの草履を履くのが当たり前でした。


踵まで全部の足を入れ、靴のように履くカレンブロッソでは前重心ですと滑らない底材のために逆につんのめってしまい、3度大きく転んでしまいました。

かなりの怪我でそれ以来トラウマです。

お茶の生活も長かったので、ごく普通のお草履しか履けませんしそういう歩き方しか出来ないのです。


お草履には必ずメンテナンスがつきもので、踵の修理や緩んだ鼻緒の調整が必要です。

コロナ禍に入ってからは、そのような事を自分でやるしかないかしらと主人に話したら、それなら履物屋の息子の俺がやるからいいよと言われ、よし!!この流れでなんとか夫に履物屋を継がせてしまおうなどど思っていました。

勿論子供の頃から店を手伝っていたとはいえ本業ではないので、少しの間ですが修行に行ってもらいました。


そんなこんなで、とりあえず「吉田履物店」は再開となります。

現在店舗は他の方に貸してしまっているので、イベントやネットなどで販売などをする予定です。
珍しい昭和の在庫も沢山あるのでそれを活かしていきたいと思っています。

今はもうなかなか手に入らないくり抜き一枚ものの下駄や、デットストックの昭和草履などに新しい鼻緒を挿げて「Re-zori」などとしてできるだけ安く販売をしていこうかなと思っています。

そうすることでまた皆さんが下駄や草履などの履物に興味を持ってもらえたら嬉しいです。

しばらくは吉田履物店の在庫をお見せしながら昭和の時代の履物の事や今は無くなってしまった銀座の名店などの紹介をしていけたらと思います。

そして夏に完全閉店してしまう創業100年の門前仲町の鈴木屋さんの履物についても少しづつご紹介いたします。

吉田履物店の女将として、夫をサポートしていけたらと思います。



イベントのお知らせ
「旅館で楽しむ夏の涼」

日時  6月18日 12時〜17時頃まで

場所  和泉多摩川「川田旅館」

東京都狛江市猪方4丁目1-20 小田急線和泉多摩川駅徒歩6分

清野菜名 松坂桃季主演映画「耳をすませば」ロケ地の旅館です。


●浴衣や半幅

●下駄と挿げ

●足つぼマッサージ

●オープンカフェ

桜沢エリカちゃんと私が会場にいます。

一緒にカフェでまったりしたい方や、浴衣のコーディネート相談などお気軽に。

ふらっとお気軽にお立ち寄りください。


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