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黒豆で帯揚げを染め直す

2020年4月13日 14:02  草花の色 


「古い帯揚げを台所で染め直そう」〜黒豆編

4月からスタートするはずでした「草木染め講座」ですが、しばらくの間は先が見えませんので、ブログにて出来るだけ詳しく説明をして参ろうと思っております。


また私の草木染めは化学薬品を使いませんので、ご家庭の台所で、いつもお食事を作るお鍋で出来ます。

途中で味見も出来ます(美味しいわけではありませんので、特にオススメする訳ではありませんがそのぐらい安全であるということです)


今回は「黒豆」でございます。

なぜ黒豆かと申しますと、

○染めた後に煮豆にして食べれる(食べ過ぎは太ります・・笑)

○黒豆茶にも出来る。

○スーパーで買える

○紫系や鼠系など日本の伝統色の色を勉強できる。


おすすめは古い帯揚げです。

帯揚げの白いものは、年数を経てまいりますと、結ぶところが手油にて汚れ黄ばんで参ります。

またシミなども目立ちます。

帯揚げは案外汗を吸いますので、なんとなくよれっとしてくるのでございます。


そんな帯揚げも染め直せばまた新しい気持ちで可愛がってあげることが出来ます。

江戸時代はなんでも染め直してリサイクルするのが当たり前でございました。

いらなくなったら捨てるのではなく、その前に何かしてあげれなかったか?と工夫をすることが、着物人としての愛情だと思うのです。



黒豆はスーパーで300g500円前後で購入できます。

今回は一袋使います。

黒豆は洗い、煮豆の要領で一晩お鍋で水につけておきます。

この水にも染料は出ており、翌朝黒っぽい水になっているかと思います。

そのまま捨てずにその水を煮出します。

鍋の9分目まで水を入れてください(後で豆を取り出すと水かさが減りますので)

1時間ぐらい沸騰しない程度の中火で煮ます。




豆を取り出し、残った液が染料になります(写真ぐらいの濃い液になっていれば良いです)


豆は後で砂糖を加え煮豆にしますので他の容器で保存してください。


帯揚げは中性洗剤で洗い汚れを落としておきます。

豆を取り出した残りの液に軽く絞った帯揚げを入れます。

私はいつも大きめのボウル(ステンレスは加熱できます)に2枚の帯揚げを入れています。

できれは落し蓋をして、帯揚げが満遍なく液に浸かるようにしてください。

それから中火〜弱火で1時間煮ます。(沸騰しないようにしてください)



そのあとは火を止めほっておいてください。

5時間ぐらい。

栗梅の色が出てまいります。



染液を捨て、新しい鍋かボウルに水を入れ、スーパーで買える焼きミョウバンを入れます。

だいたいで良いです。

2リットルに対し大さじ3杯ぐらい(今回はグレーの色味を強く出したかったので多めに入れています)

ミョウバンを中火で溶かし、その中に帯揚げを入れます(帯揚げは簡単に水洗いして染料を落としておきます)

30分〜40分ほっておきます(加熱は中火で10分ぐらいそのあとはほっておきます)






以上です。

帯揚げはお風呂場などや陰干しで乾かし、いきなり日光に当てないでください。

ある程度乾いたら日光に当てても良いです。

完全に乾きますとクールな錆浅葱〜江戸鼠色になりました。


煮染め、媒染、乾燥と時間を経過していくごとに、様々な色が出てまいります。

その色が自然の色であり、日本の伝統色であります。

自分の手で色を出していくことが勉強でありますので、多少染めムラが出ても気にしなくて良いのです。


残った黒豆は砂糖で甘く煮付けて食べてください。

私は2袋買っており、一袋はほうじ茶炒り器で黒豆茶用に炒っておき、おやつでそのまま食べたりしています。

同時に玄米も炒ります(これもこのままおやつで食べると美味です)

玄米は狐色になるまで炒ります。

古くなった緑茶も炒ってほうじ茶にしております。

炒った黒豆、玄米、ほうじ茶、ビワ茶などを毎朝ブレンドしてお気に入りの薬草茶としても飲んでいます。





染めと、生活は一体化しており、特別ではないこと。

それが私の草木染めの考え方でございます。


小豆鼠〜赤みのある蘇芳紫、そして仕上がりはクールな江戸鼠に。

最後に残ったミョウバン液には、黒豆の紫の色が残り、帯揚げには灰色が残りました。



ご質問などがございましたら、お気軽にどうぞ。

ではまた。




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